2022-8-19
【県民局注:記事中、自動車とワインの関係を想起させる記述がありますが、本記事は「ジオパークとワインのマッチング」という地域資源の新たな見方を提案するものであり、飲酒運転を推奨するものではありません。】
私が初めて下北に来たのは大学1回生の夏でした。地元の八戸市で気運が高まるワイン用ブドウの栽培開始を間近に見ていたことから、農学を学び地元に貢献したいと考え、県内の大学に進学しました。
進学してすぐの夏休み、青森県のワインといえば下北ワインだ!と思い調べてみると1ヶ月間のインターンシップを開催予定とのこと。実際のワイン事業の現場を知りたいと、私は思い切って1ヶ月を下北で過ごすことにしました。
インターンシップに参加後、私は気づけば下北が大好きになっていました。豊かな海と森の壮大な景色、美味しい海産物、そして何よりそこに住まう方々の地域愛に感化され、下北への移住を決めました。
今年で移住2年目となり、下北の良さをより深く知る機会が多くなりました。学生の頃とは違い、車を持った私は自然とドライブが好きになりました。そんな私の最近のマイブームは「海岸線巡り」です。下北ジオパークに登録されている景勝地は、訪れる季節によってもたくさんの色合いが見て取れます。
今回の下北自慢記事では、私が休日に巡っている下北半島の海岸線を紹介したいと思います。
磯の香りとワインの風味を想像しながらお読みいただけますと幸いです。
※ワイン片手に巡っていますが、運転は全て同乗の友人にお任せしています。
余談ですが、私は80年代のCity popが好きで、今回の海岸線ドライブは山下達郎のアルバム「FOR YOU」から始まります。
奇麗な砂浜と迫力ある地層を間近に見ることができる北部海岸。
石持漁港に車を停めて潮騒のする方へ歩いていくと、先が見えないほどの海岸線に出会えます。
何万年もの歳月を経て作られてきた北部海岸の地層を見る度、私はほろ苦いチョコレートが何種類も折り重なったようだと感じて、赤ワインを取り出さずにはいられなくなります。ワイングラスの縁に歪んで映る地層がまるで地球の歴史を詰め込んだ透明な地球儀のようで、神秘的です。
はまなすライン(国道279号線)を大間方面へ北上していくと、下風呂温泉の巨大な看板が目につきます。温泉を尻目に少し車を走らせると、隆起した大きな岩が2本、海面に浮かんでいるような不思議な公園が道路沿いから見えます。
この二見岩は夫婦岩とも呼ばれ、下風呂温泉のシンボルとして海上の安全を祈願する神聖な場所です。公園の中心部にある東屋のテーブルにワイングラスを置くと、図ったかのように二見岩の真ん中に鎮座します。友と二人で、こうしてみると三見岩だなぁとくだらないことも言い合える、素敵な公園です。
下北半島を1周するのは思い立ってもなかなか勇気がいりますよね。ですが、よりジオパークを感じることができるスポットを目指して、はまなすラインをさらに北上していきます。
※この辺りでCDは山下達郎から、杏里と角松敏生の傑作アルバム「Timely!」に切り替わっています。
有名な産地直売所「ふのりちゃん」の目の前に広がる沢の黒海岸は、車を降りた瞬間から磯の香りが充満しています。
ワインは海産物に合わせるなら白の辛口で決まりですね、ということでグラスも変えていざ、とその時!グラスの隙間から磯の香りが入り込んで、ワインの風味とがっちり合致!こんなマリアージュもあるのかと、屋外でワインを楽しむ面白さを再認識したひと時でした。
材木岩という珍しい岩肌の海岸があるらしい、と今回のドライブで初めて訪れたのが津鼻崎です。遊歩道を歩いて着いた先には、確かに長い鼻がいくつも並んでいるような、厳かな海岸が待っていました。
少し歩くということでワインを飲むのは諦めましたが、この景色は私の心を癒してくれるのに十分すぎるほどの迫力がありました。少し開けた野原に座り、30分ほど海を眺めていました。
大間崎で遅い昼食になった潮さいラーメンを飲み干した後、国道338号線を南下して佐井村まで車を走らせます。帰りはやっぱりユーミンですね。
日が傾き始めてきて間もなく、願掛岩に到着しました。ここを車で通るたびに、どうやって道路を作ったのだろうかと、巨岩を横目に考えてしまいます。ワイン片手に下北をぐるっと1周の旅も終わりに近づき、無事に自宅まで帰れますように、と願掛岩にお祈りしてその場を後にしました。
下北半島を一周すると、その土地ごとの様々な情景が目に焼き付きます。
移住してからさらに下北が好きになりました。穴場スポットを探していますので、もしご存じでしたらあなたの好きな下北半島のおすすめの場所を是非とも教えてください。
ワイン片手にボーっとしている人がいましたら、もしかすると私かもしれません。
2022-8-31
グラフ青森 青森の暮らし編集部
大地は太古の昔より火山や海水面の変動、波や海による浸食などによって、今もなお変化をし続けています。下北地域には独自の壮大な景観が数多く見られ、特に景勝地を含む海岸景観は、津軽海峡、陸奥湾、太平洋という特徴の異なる3つの海に囲まれた特異なジオ(大地)によるもの。
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