2021-10-20

「縄文の時代に思いを馳せて」

氣仙 修(東通村観光協会会長) 東通村在住プロフィール

2021年7月、北海道・北東北の縄文遺跡群が世界遺産に登録されました。
私の住んでいる、東通村にも縄文時代の遺跡が点在していますが、下北ジオパークのジオサイトの一つである、津軽海峡に面した「北部海岸」でも縄文の遺跡が発掘されています。隆起と縄文海進による海水準の変動によりできた海成段丘(※)の大地に、その時代の遺跡があります。そこからは多くの土器や石器が発掘されています。
発掘された縄文時代の土器や石器の出土品の一部は、東通村歴史民俗資料館で見ることができます。(要予約)
(※)海成段丘…海岸沿いで海水準変動など海の作用によって形成される階段状の地形のこと。詳しくは下北ジオパークFacebookページを参照。

北部海岸では、縄文時代前期の竪穴式住居跡もたくさん発掘されています。 自分なりに縄文時代の生活様式を想像してみると、ここ北部海岸はとても海の幸、山の幸が豊富に獲れる住みやすい地域であったと考えます。なぜなら、生活必需品である出土した石器を見ると、黒曜石の「ト」字状石器があるからです。

黒曜石の「ト」字状石器(東通村村史より引用)

この黒曜石は非常に良質で、青森県産のものではなく、遠く直線距離で約200キロも離れた北海道余市郡赤井川村のものではないかと推察され、津軽海峡を越えて交易があったことを証明するものではないでしょうか。
縄文時代から津軽海峡を行き来し、スケールの大きい交易がなされていたと考えると、その時代は、かなり裕福な生活をしていたのではないかと想像できます。
また、居住跡には、「祭壇」があったとされ、信仰的な祭礼がなされていたと思われます。そんな縄文時代に思いを馳せると、ここに現在住んでいる私たちに、誇りさえ与えてくれました。

石持納屋遺跡より出土の縄文初期の住居図(東通村村史より引用)

北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録は、北海道・北東北の方々に、文化遺産の保護や、景観を守ろうとする気持ちを与えてくれたと思います。
私もその一人で、大好きな下北ジオパークのジオサイト「北部海岸」のごみ拾いや、草刈りなどを自ら進んでやるようになりました。もっと住民を巻き込んで、ごみ拾い後の清々しい気持ちを共有させてあげたいと思っています。

大切な郷土をみんなで守り続けることこそ、未来へつなげる小さな行動だと信じてやみません。ごみはポイ捨てしないで~!

― 補足情報 ―
■北部海岸
http://shimokita-geopark.com/hokubukaigan_area/
行き方はこちら
■東通村歴史民俗資料館
http://www.vill.higashidoori.lg.jp/kyouikai/page000015.html
事前予約が必要です。
連絡先:東通村教育委員会0175-27-2111(代表)

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\ この記事の著者 /

氣仙 修(きせん・おさむ)

東通村観光協会会長

東通村在住

東通村生まれ。
平成6年に富士フィルム(株)を退社後、東通村にUターンし、(有)コスモクリエイトを起業。主にイベントデザインや地域おこしに力を入れて活動している。
東通村観光協会会長を務めるほか、東通★東風塾(やませじゅく)副塾長、青森県総合計画審議会委員なども務めている。

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