2021-12-20
日本有数の名所ビッグネーム「霊場恐山」。
山門、正門をくぐると「地獄」の景観が広がります。「地獄」を抜けると白い砂浜「極楽浜」があります。その水辺から広がる湖が「宇曽利山湖(うそりやまこ)」です。
静かにたたずむその姿は、人目につかないようひっそりと生きる貴婦人を思わせます。
湖を取り囲むように立つ山の一つ、大尽山の山頂からの眺めはまた格別です。標高900m以下の比較的低い山々が連なる下北半島の森林地帯に、青いハート型の湖が浮かびあがります。
手軽に見ることのできる最高地点は、釜臥山展望台から山頂への登山道の中ごろです。山頂までほとんど階段が整備されているので約30分で登ることができます。ここでは湖畔から奥に広がる白い砂浜が森の緑と湖の青から浮き出したように見えます。
釜臥山展望台から恐山へ向かう途中には恐山展望台があり、さらに近づいた宇曽利山湖の水面を感じることができます。
湖の水辺に立つと、天候によっていくつもの色に変わる水面は、風のない鏡面のような時、大尽山を映して見とれる景観になります。
恐山というビッグネームの下でなければ、その姿だけで一つの見どころとして自立できる湖です。その美しさが広まることで、名所としての恐山の価値をさらに高めることになりそうです。
南岸(恐山の対岸)はまばらな林に湿地帯が広がっています。その湿地帯には4月下旬から5月上旬にかけてミズバショウの大群生地が現れます。日本でも有数の群生地ではと言われています。
北岸(恐山側)の白い砂浜の周りには、ハクサンシャクナゲやイソツツジなど硫黄や噴気を好む植物がみられます。周りの山地は標高の低いほうから、ヒバ主体の林(濃い緑)、ヒバとブナの混交林(濃い緑と薄い緑がまだら)、そしてブナの林(薄い緑)になっていて、森林生態系保護地域に指定されています。
植物の多様性にも興味を惹かれます。
視野を広くとると、湖のまわりを山々が囲んで盆地のようになっています。典型的なカルデラ地形です。「恐山の景観を生み出したのは、130万年前に始まった火山活動とその産物の一つであるカルデラ地形であった。(下北ジオパークガイドブック)」
自然景観、植物そしてジオ(カルデラ)。宇曽利山湖の魅力が拡散し、恐山とともにスーパービッグネームに成長することを夢見ます。
2021-12-27
佐藤 史隆 季刊あおもりのき発行人
霊場恐山のごつごつとした岩場から立ち上る白い煙、カラカラとまわる風車。あたり一帯には硫黄の臭いが漂います。人はここを地獄と見立て、逆に湖面美しい宇曽利山湖とそれをとりまく白砂の浜を極楽浄土と見立てました。
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